「審査なし」「ブラックOK」「他社で断られた方も歓迎」。お金に困って検索すると、こうした言葉が並んだ広告やサイトが次々に出てきます。どれが本物の貸金業者で、どれがそうでないのか、言葉だけでは分からない。そう感じている人のための記事です。
実は、登録を受けた正規の貸金業者には、広告に使ってはいけない言い回しが、具体的な例として決められています。日本貸金業協会の「貸金業者の広告に関する細則」には、該当するおそれのある表現が70を超えて書き出されています。金融庁の監督指針も、同じ考え方を示しています。
この記事では、その一覧を2026年11月7日に読み、よく見る看板の言葉がどこに当たるのかを辞書のように並べました。看板の言葉を見たら、この一覧と照らすだけで、相手が「正規の業者として書いてはいけないことを書いている」のかどうかが分かります。
広告の言葉を決めている3つの文書
| 文書 | 決めていること |
|---|---|
| 貸金業法 第16条第2項 | 広告や勧誘で、してはならない表示や説明を定める。第2号は「他の貸金業者の利用者又は返済能力がない者を対象として勧誘する旨」、第3号は「借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示又は説明」 |
| 金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」 | 第3号に当たるおそれが大きい例として、イ「貸付審査を全く行わずに貸付けが実行されるかのような表現」、ロ「債務整理を行った者や破産免責を受けた者にも容易に貸付けを行う旨の表現」、ハ「他社借入件数、借入金額について考慮しない貸付けを行う旨の表現」を挙げる |
| 日本貸金業協会「貸金業者の広告に関する細則」(令和7年4月2日施行) | 上の考え方ごとに、抵触するおそれがある具体的な言い回しを、ア・イ・ウ…の記号を付けて並べる |
出典:金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」、日本貸金業協会「貸金業者の広告に関する細則」。いずれも2026年11月7日に公式サイトで確認。
細則が挙げる例は、大きく三つのまとまりに分かれます。「審査をしないかのような言葉」が41、「ブラックでも借りられるかのような言葉」が6、「他社で借りている人や返せない人を誘う言葉」が26。合わせて73の言い回しです。
まとまり1:「審査をしない」かのような言葉(41例)
監督指針のイ「貸付審査を全く行わずに貸付けが実行されるかのような表現」に当たるとして、細則は41の例を挙げています。その中から、ネットの看板でよく見るものを抜き出しました。
| 細則の例(原文のまま) | よく見る看板の言い方 |
|---|---|
| 無条件、無審査で○○万円 | 審査なし、無審査 |
| 必ず貸します/お断りすることはありません/どなたでも貸します | 100%融資、誰でも借りれる |
| 審査基準が大幅にダウン | 審査が甘い、審査ゆるめ |
| 職業、件数、残額など一切問いません | 無職OK、他社件数不問 |
| 年齢不問 | 年齢制限なし |
| 借入れができない方・借入れが困難な方 | どこにも借りられない方へ |
| 当社がだめならあきらめて下さい/大丈夫、なんとかします | 最後の砦、最終手段 |
| 簡単審査・簡易審査・即答審査 | 簡単審査、即審査 |
| 名刺1枚でご融資OK/面倒な手続一切不要 | 書類なし、本人確認だけ |
| 秒速借入・秒速返済/借りやすさNo.1 | 最速、借りやすさ1位 |
| どんな状況でも | どんな状況でもOK |
左列は日本貸金業協会「貸金業者の広告に関する細則」Ⅳ.4.⑴の例から抜粋。右列は、同じ意味を持つ、ネットでよく見る言い方の例。
「審査なし」と書いてある看板は、細則の「無条件、無審査で○○万円」と同じ意味です。正規の業者は、審査をしていないかのように見える書き方そのものを避けなければなりません。そもそも貸金業法は、貸す前に返済能力を調べることを求めています。大手消費者金融のアイフルは、公式サイトのよくある質問で「審査なしでお借入れはできません。貸金業法に基づき、すべてのお客様に対して適切な審査を行っています」と答えています(2026年11月7日確認)。
細則の41例の中には、但し書きが付いて「条件を満たせば可」とされているものが3つあります。
| 言葉 | 細則の但し書き |
|---|---|
| コンピュータ審査なし | 当店の審査基準に基づいた審査を行っている旨の表示があれば可 |
| 即日融資・即日振込 | 申込み時間帯によっては対応できない旨の表示があれば可 |
| 何回でも借入れ可能 | 極度方式基本契約であれば可 |
つまり、正規の業者が「即日」と書くときは、時間によっては間に合わないことを添える必要があります。「即日」だけが大きく書かれ、締め切りの時刻がどこにもない広告は、それだけで正規の書き方から外れています。
まとまり2:「ブラックでも借りられる」かのような言葉(6例)
監督指針のロ「債務整理を行った者や破産免責を受けた者にも容易に貸付けを行う旨の表現」に当たる例として、細則は次の6つを挙げています。これは全部です。
| 記号 | 細則の例(原文のまま) |
|---|---|
| ア | ブラック可 |
| イ | 無理と思わず相談下さい |
| ウ | 破産歴のある方でも大丈夫 |
| エ | 他店で債務整理した方も大歓迎 |
| オ | リセットOK |
| カ | リセットの方歓迎 |
出典:日本貸金業協会「貸金業者の広告に関する細則」Ⅳ.4.⑵。
「スーパーブラックOK」「ブラック大歓迎」「自己破産後もOK」は、どれもア・ウ・エと同じ意味です。「リセット」は、債務整理や破産で借金を整理したことを指す言い方です。ブラックを歓迎すると書いた看板は、正規の業者が広告で使ってはいけないとされる言葉を、そのまま掲げていることになります。
まとまり3:「他社で借りている人」「返せない人」を誘う言葉(26例)
貸金業法第16条第2項第2号は、他の業者からすでに多く借りている人や、返済能力がないと思われる人を対象に勧誘することを禁じています。細則はその理由を、「多重債務化を助長することに繋がる」からだと説明し、26の例を挙げています。
| 細則の例(原文のまま・抜粋) | よく見る看板の言い方 |
|---|---|
| 他店で断られた方 | 他社で断られた方も |
| 他店利用件数は問題ではありません/他店○件以上でも可 | 他社5件以上でもOK、件数不問 |
| 借入件数多い方・借入件数が増えている方 | 多重債務の方も |
| 返済でお悩みの方/借金で困っている方 | 返済に困ったら |
| 失業中の方 | 無職でも |
| 税金の滞納がある方・滞納した税金の支払いにも | 税金の滞納があっても |
| 債務超過である場合でも | 借金が収入を超えていても |
| 高金利でお困りの方 | 今の金利が高い方へ |
出典:日本貸金業協会「貸金業者の広告に関する細則」Ⅳ.3.の例から抜粋。
この26例は、困っている人に向けた優しい言葉に見えます。けれど細則の立場から見ると、返す力が乏しい人ほど、さらに借りさせる方向へ誘う言葉です。だから正規の業者は、こうした言葉で客を集めてはいけないことになっています。
「金融庁公認」も、書いてはいけない言葉
細則は、事実に基づかない表現の例として、「財務省公認・金融庁公認・(都道府県)公認」「○○知事免許」「(都道府県)認可」「財務省登録・金融庁登録」なども挙げています。貸金業は「登録」の仕組みで、国や都道府県が業者の中身を「公認」したり「免許」を与えたりするものではありません。登録の正しい書き方は、「○○財務局長(更新回数)第○○号」「○○県知事(更新回数)第○○号」の形です。細則は、登録番号を書くときに更新回数を省いてはいけない、とも定めています。
「金融庁公認」と大きく書いてあるサイトは、正しい書き方を知らないか、わざと誤解させようとしているかのどちらかです。どちらにしても、信用の理由にはなりません。
逆に、正規の広告に「必ずあるもの」
細則は、書いてはいけない言葉だけでなく、貸付けの条件を広告するときに書かなければならないことも定めています。こちらを知っておくと、「書いていないこと」から相手を見分けられます。
細則は、貸付けの条件について広告をするときに表示する事項の1番目に、「審査をする旨」を挙げています。正規の広告には、審査をすると書かれているのが普通です。「審査なし」の反対の「審査をします」が、決まりとして求められているわけです。看板に「審査なし」とあり、「審査をする」の一言がどこにもないなら、その時点で正規の広告の形をしていません。
細則は、広告に商号と登録番号を表示すること、登録番号の更新回数は省略できないことを定めています。利率は年率で、少なくとも小数点以下1位まで表示し、上限の率も表示します。返済の方式、返済期間と回数、遅延損害金の年率も表示事項です。「10日で3割」「1週間で2割」といった、年率ではない書き方しかない料金表は、正規の広告の表示の仕方と違います。
礼金、割引金、手数料、調査料などの費用を取る場合は、その名称を表示することになっています。「手数料3,000円を先に引く」と後から言われるような取引は、広告の段階でその名前が書かれているべきものです。
返済例を載せる場合は、貸付けの利率の上限の率で計算し、貸付け金額は10万円以上、期間は1か月を基準にすると細則は定めています。いちばん安い金利だけで計算した返済例や、1万円・1週間といった小さな例だけを載せるのは、この決まりの外です。
ホームページやメールアドレスを広告に載せるときは、貸金業者登録簿に登録された電話番号を表示します。広告に連絡先として電話番号などを載せる場合も、登録簿に登録されたもの以外を表示してはならない、とされています。さらに細則は、適切でない表現の一つとして「携帯電話番号の表示」を挙げています。連絡先が090や080の携帯番号だけ、LINEのIDだけ、という広告は、正規の業者の広告の形ではありません。
細則が「事実に基づかない表現」として挙げる例には、先の「金融庁公認」のほかに、「日本一・日本最大」「ご利用〇万人突破」「上場予定」「業界屈指」「創業〇〇年」「安心・信頼の」「銀行」「金庫」「3分で融資」などがあります。銀行でも信用金庫でもない業者が「〇〇銀行」「〇〇金庫」を名乗るのも、この例に入ります。
年金や手当を受け取っている人を誘う言葉も
貸金業法第16条第2項第4号は、公的な年金や手当を受け取っている人の借入意欲をそそるような表示を禁じています。細則はその例として、「年金受給者」「年金担保」「年金立替」「年金信用融資」「恩給」「恩給担保」「恩給立替」を挙げ、「シルバー(熟年)、高齢者」も、収入がある旨を表示しなければ抵触するおそれがあるとしています。「年金でも借りられる」「年金を担保に」とうたう相手も、正規の業者の広告では使えない言葉を使っています。
利息の書き方にも、使ってはいけない形がある
細則は、不適切なおそれがある利息の表示の例として、「通常利息 年〇〇%以下」「納得のいく利息」「低利で融資中」「法定金利以下」と、意味がはっきりしない略語の「遅同」「要審」「自返」を挙げています。また、ほかの業者と比べて自社の利率が低いと、具体的な数字を示さずにうたう表現として、「低利の我社にまとめてみませんか」「超低利、低利最低どこよりも安い」「1/2のお利息」「業界No.1金利(低金利)」を挙げています。
「法定金利以下で安心」「業界最安の利息」と書きながら、年率の数字がどこにもない。そういう広告は、細則の例そのものです。利息は「安い」という言葉ではなく、年率の数字で確かめる。それができない広告は、比べる材料を出していません。
細則の例の全文(照らし合わせ用)
手元の広告の言葉を、そのまま照らせるように、細則の二つのまとまりの例を全文で載せます。
審査をしないかのような言葉(Ⅳ.4.⑴・41例)
面倒な手続一切不要/出ます出ます、どーんと貸付け/ジャンジャン融資/完全融資/無制限貸出し/必ず貸します/100%ご満足/お断りすることはありません/名刺1枚でご融資OK/希望額OK/その場で○○万円/年齢不問/どなたでも貸します/ご夫婦で○○万円/無条件、無審査で○○万円/ズバリ貸します/借入れができない方・借入れが困難な方/審査基準が大幅にダウン/職業、件数、残額など一切問いません/当社がだめならあきらめて下さい/無理と思わず相談下さい/コンピュータ審査なし(但し書きあり)/簡単審査・簡易審査・即答審査/即時融資、即答振込/マイカー給油の間に/秒速借入・秒速返済/借りやすさNo.1/大丈夫、なんとかします/スピード融資/即日融資・即日振込(但し書きあり)/お財布感覚/何回でも借入れ可能(但し書きあり)/お気軽コース・お手軽/ササッとキャッシング/ラクラクキャッシング/大きく借りてイキイキライフ/簡単・ラクラク・誰にも会わず(自動契約機の広告の場合)/業界一の簡単キャッシング/どこよりも簡単/どんな状況でも/○○ローン今月に限り無条件融資
他社の利用者・返せない人を誘う言葉(Ⅳ.3.・26例)
他店利用者是非相談/他店利用者大歓迎/他店利用件数は問題ではありません/今あなたは何件利用していますか/貸出窓口大幅拡大/担保無設定融資(不動産担保融資の場合、但し書きあり)/切替え・借換え・おまとめ(住宅ローン等は可)/返済でお悩みの方/多額借入中の方も/借金で困っている方/他店○件以上でも可/他店○○万円以上借入れの方も可/失業中の方/もう歩きまわる必要はありません/どこの店よりも頼りになる当店に/他店とちがい、いろいろ選べます/他店で断られた方/借入件数多い方・借入件数が増えている方/支払い金額が多くて困っている方/多重債務一本化/50万円以上どなたでも/高金利でお困りの方/無理と思う方/当社で一本化/税金の滞納がある方・滞納した税金の支払いにも/債務超過である場合でも
出典:日本貸金業協会「貸金業者の広告に関する細則」(令和7年4月2日施行)Ⅳ.3.とⅣ.4.⑴。表記は原文のまま、記号は省いた。
看板の言葉で、相手を三つに分ける
ここまでの一覧を使うと、看板の言葉から、相手を次の三つに分けて考えられます。
| 看板の状態 | 考えられる相手 | 次にやること |
|---|---|---|
| 登録番号が書かれていない。「審査なし」「ブラックOK」がある | 登録のない業者 | 申し込まない |
| 登録番号らしきものはあるが、「審査なし」「ブラック可」「他社で断られた方」などがある | 本物の番号を名乗るなりすましか、細則に反する広告を出す業者 | 番号を金融庁の検索で引き、電話番号まで照らす。合っても慎重に |
| 登録番号(更新回数つき)があり、細則の例に当たる言葉がない。「即日」には締め切りが書かれている | 正規の業者の可能性が高い | 番号を金融庁の検索で引いて確かめてから申し込む |
2つ目の列の「なりすまし」は珍しくありません。都道府県が公表している「違法な貸金業者」の一覧には、実在の登録番号の形を真似た業者が並んでいます。番号の形の見分け方は、埼玉県の一覧28社を読んだ記事にまとめられています。
「審査なし」「ブラックOK」は、借りたい人にとっていちばん聞きたい言葉です。だからこそ、正規の業者は使えず、使えない言葉を使っている相手だけが、その言葉で客を集められます。その言葉に安心した瞬間が、いちばん危ない瞬間です。
今日、目の前の広告でやること
1. 広告やサイトの言葉を書き写し、この記事の表と全文の一覧の、どのまとまりに当たるかを見る。一つでも当たれば、次の確認を飛ばさない。
2. 登録番号が書かれているかを見る。書かれていなければ、その時点で申し込まない。
3. 書かれていれば、更新回数のかっこまで付いた形かを見て、金融庁の登録貸金業者の検索で番号を引く。
4. 出てきた登録の商号・電話番号が、広告と同じかを照らす。違えば、本物の名前を借りた別の相手。
5. 「即日」とあれば、何時までに申し込めば間に合うかが書いてあるかを確かめる。
6. 連絡先が携帯番号やLINEだけなら、そこで手を止める。正規の広告は、登録簿に載った電話番号を表示する決まりです。
この記事で確かめたこと
貸金業法第16条第2項は、借入れの容易さを過度に強調する表示や、他社の利用者・返済能力がない人を対象にした勧誘を禁じています。金融庁の監督指針は、「審査を全く行わない」「債務整理や破産の人にも容易に貸す」「他社借入を考慮しない」という3つの表現を、該当するおそれが大きい例として挙げています。
日本貸金業協会の細則(令和7年4月2日施行)は、それを具体的な言い回しにして、「無条件、無審査で○○万円」「ブラック可」「破産歴のある方でも大丈夫」「他店で断られた方」など73の例を並べていました。看板にこれらの言葉があれば、それは正規の業者が広告で避けるべきとされる言葉です。
確かめた日:2026年11月7日。確かめたもの:金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」(Ⅱ 貸金業者の監督に当たっての評価項目)、日本貸金業協会「貸金業者の広告に関する細則」(令和7年4月2日施行)、アイフル公式サイトのよくある質問。
